害獣を肥料に変える「コンテナ・コンポスト」

装置の概要

開発の背景

HIMECの代表の日高明広は「一般社団法人 木の総合文化 ウッドレガシー推進協議会」(以下「ウッドレガシー」とする)理事・事務局長という立場で、60名近くの ウッドレガシー推進議連とともに 日本産材の活用推進を行っております。

ウッドレガシーにおきましては、下記の七つの事業を軸に、開発・普及活動を行なっています。

LCA(Life Cycle Assessment)の見地から木材利用を図る
〔1〕 社寺仏閣建築加工における設備の開発・普及
〔2〕 建具製造に関する加工装置の開発・普及
〔3〕 木材脱水装置の開発・普及
〔4〕 環境木材の開発・普及
〔5〕 不燃ボードの開発・普及
〔6〕 ボアズ工法等、むく材パネル工法を活用した複合体育施設の開発・普及(木造バンク)
〔7〕 未利用木材等の活用手段、『害獣堆肥化処理装置』の開発・普及

「コンテナ・コンポスト」というのは、ウッドレガシーの七大取り組みの一つである「未利用木材の有効活用」のために開発しました、経済的かつ安全な有機物資源化装置になります。

特徴

独自開発した回転箱の中での高温発酵により、有機物を分解すると共に滅菌し、付加価値の高い肥料に変える装置です。これは、既に20年以上の高温菌による堆肥処理の実績を持つ特許技術を応用した装置です。害獣処理に特化するために、従来の『オープン・定置式・施設型』を、『二重密閉・移動式・コンテナ型』に改良しました。害獣処理の方法として、今までは埋めるか、燃やすか、バイオ分解するかしか方法がありませんでした。しかし、どれも課題を抱えています。「コンテナ・コンポスト」はそれらの課題を克服し、機動性・柔軟性・安全性とも優れた、害獣処理の画期的なソリューションです。

HIMEC資料一式のダウンロード

害獣処理の課題

野生鳥獣被害

野生の鳥獣は、温暖化から、生息地が北上し、これまで無防備だったエリアで繁殖が拡大しております。

例えば、能登半島では、昔は積雪の為、イノシシが冬を越せず被害の無かった地域でしたが、温暖化で生息地が北上したことで、爆発的に繁殖し、20万頭以上も生息していると言われています。農地や果樹園を荒らす被害が多発し、住民にも被害を加える事態にさえ至っております。イノシシとの衝突事故も発生しております。

被害は さらに拡大していることが伺えます。イノシシのほか、くま、しかなどによる被害も大きくなって来ました。

【イノシシ被害】

和歌山 豚熱で290頭殺処分
共同通信 | 2021年1月27日(水)

岡山 ホームセンターにイノシシ突入

共同通信 | 2021年2月12日(金

兵庫 イノシシに襲われ男性死亡

共同通信 | 2021年2月12日(金) 

【クマ被害】

全国 過去最悪ペースのクマ被害

Yahoo!ニュース 2020/12/2(水)

金沢 クマが果樹園を食べ尽くす

北國新聞 2020年10月10日(火)

北陸道 クマが道路で車と衝突

北國新聞 2020年11月9日(月)

【シカ被害】

群馬 シカの食害深刻 リンゴ収量2/3被害

Yahoo!ニュース2020年11月8日

飼育家畜被害

一方、飼育家畜は、豚熱や鳥インフルなどの疫病が多発しています。殺処分の頭数も記録を更新し続けています。

また、隣国では動物から人間に感染するG4ウイルスも確認されていますので、まさに緊急事態です。

【豚熱】

和歌山 豚熱発生 ワクチン接種豚で初

日本農業新聞 Yahoo!ニュース2021年1/28(木) 7:07配信

【COVID-19】変異種対策によるミンクの大量殺処分

デンマーク 殺処分のミンク400万匹掘り起こしへ 環境汚染懸念

AFP 2020年12月21日 9:41

【鳥インフル】

ロシア、鳥インフルH5N8亜型のヒト感染を確認 世界初

AFP=時事 Yahoo!ニュース2021年2/21(日) 12:17配信

千葉 鳥インフル相次ぐ 累計430万羽殺処分

日本農業新聞 Yahoo!ニュース2021年2/9(火) 8:07配信

日本国内の養鶏場の鶏からH5型の鳥インフルエンザウイルスが検出される事例が相次

Yahoo!ニュース2020/12/19(土) 10:47

日本の獣害の現状

豚熱が野生のイノシシから 飼育豚にひろがることは知られていますが、多発している鳥インフルの一因も、野外のウイルスだと専門家が指摘しています。野生鳥獣も飼育家畜も、その被害はかつてない規模になっており、対策が急務です。

捕獲した野生動物の処理にあたっては、すべて何らかに感染をしている前提で、処理装置を考えなければならない状況です!

既存のソリューション

現状の処理方法

これまでの害獣処理方法は、埋める、燃やす、バイオ分解などの方法があります。

埋めるのは、コストが一番低いのですが、衛生面の配慮が必要であり、二次感染などの環境問題にも注意を払いたいものです。

燃やすのは、衛生的に減容化できますが、燃料費のコスト、焼却炉の維持経費に加えさらに多くの二酸化炭素が 排出されるなどの問題も生じてきています。

バイオ分解は、肥料を産出可能性がありますが、臭気や雑菌の懸念のある排気などの問題や、さらに人手が介在する事から、感染リスクも懸念されてきています。

いずれにしても、感染対策を念頭に害獣処理方法を見直す必要があります。

HIMECのソリューション

害獣処理のキーポイント

機動性:緊急対応、初動が迅速に取れる

柔軟性:導入や運用に 冗長性があり融通が効く

安全性:高温菌による滅菌で 雑菌リスクの低減

したがって、害獣処理のキーポイントは、変異したリスクを念頭に、機動性、柔軟性、安全性の三つだと考えられます。

❶機動性

移動可能なコンテナで機動的に動かせる。

(1)移動できる

  • 建物がなくても、処理対応が可能。
  • 非定置で、住⺠からの理解を得やすい。
  • 状況に応じて処理装置の設置場所を変えられる。

(2)コンパクトに集約

  • 最低1コンテナで処理 → 省スペース
  • 増やす時はコンテナが増えるだけ。

まず一つ目の機動性は、大型コンテナに格納された機材が、容易に移設可能な事から
捕獲した害獣を最小限の移動で処理を行えるように出来る事です。状況に応じて、機動的な対応が可能となります。

「移動できること」のメリットは何かというと、建物を作らないで、状況に応じた対処が可能となります。恒久的な施設でないことから、住民の理解と協力もも得やすくなります。再度移設も可能であり処理対象に応じた対応が可能となります。どこでも処理を行うことが出来るのです。

大型コンテナでの、大きな特徴は「設備としてコンパクトである」という事です。粉砕、混錬、発酵までが、1コンテナで可能ですから、省スペースです。季節性の処理量が増える時期や、状況の変化に対しては、回転箱を増やす事で対応が可能です。

❷柔軟性

災害派遣隊などのように、状況に応じた編成が可能。

(1)導入も増設も、運用においても冗長性、柔軟に

  • 一台からでも導入可能で、初期コストが抑えられる。
  • 処理量の変動において、回転箱の増減での対応が可能。
  • 高温発酵に至った(滅菌状態)の回転箱はコンテナ外に置くことができ、熱源としても有効活用が可能。
  • 害獣のみならず、食物残渣などの処理が可能。

(2)地域間協力も 柔軟に

  • 【通常時】トレーラーで移動し、広域に及ぶ巡回処理も可能(ゴミ収集車のイメージ)。
  • 複数自治体の共同使用によってコストを抑えられる。
  • 【緊急時】処理量が急増した場合、災害派遣隊のようにコンテナを集約し、迅速な初動対応も可能。機動的な事が、被害の拡大を抑制します。

 

二つ目は、柔軟性です。

災害派遣隊などのように、状況に応じた編成が自由自在です。導入も 増設も、運用においても 冗長性がもたらされます。そのため導入初期のイニシャルコストが抑えられ、また害獣のみならず、食物残渣などの処理が可能な事も大きな特徴です。処理量の変動においては 回転箱の増減や処理対象の変更などの対応が可能です。

地域間協力もトレーラーで設備そのものが移動し、広域に及ぶ巡回処理も可能なります。この様な状況に応じた、複数の自治体の協力体制を取る事もシステムとして可能です。処理量が急増した緊急時、回転箱のコンテナを集約し、迅速な初動対応も可能です。編成も出動する規模も可変で、機動的な事が被害の拡大を抑制します。

❸安全性 

衛生面を考慮した、構造と処理工程の安全確保

(1)構造における安全性

  • 気体を漏らしにくい構造:大型コンテナそのものが設備を格納し、建物の無い状況で排気制御が可能。大型コンテナ内の回転箱に害獣が格納され高温発酵する。
  • 故障しにくい構造:混錬し続ける必要のない事から、スクリューが不要。回転箱の自転によって最低限の混練が可能。複雑な機械構造を削減し、故障リスクが減少。

(2)処理工程における安全性

  • 高温滅菌:適切な水分量と空気量を制御し、発酵工程を90度以上に保つことで、雑菌を死滅させる。
  • 自動化された装置:人手を極力介在させず、二次感染の可能性を低減させ、維持管理においての簡易性がある。

三つ目の最も重要なキーポイントが安全性です。

まず、構造においては、大型コンテナそのものが設備を格納し、そのコンテナ内に密閉回転箱が格納されます。いわば二重構造のコンテナ内での高温発酵ですから、非常に安全性が高いのです。

さらに、スクリューを使わず、箱自体が自転する回転箱デリケートな制御や構造も必要ありませんから、故障しにくいのです。

つぎに処理工程においては、回転箱の中で高温菌が投入・混練され、空気や水分も自動制御となり、全体が90度以上を保ちますので、懸念されるウイルスも雑菌も死滅します。

また、人間を極力介在させず自動化させております事から、感染防止のみならず、維持管理においてもリスクの少ないシステムとなっています。

 

おすすめの記事