[木材脱水連載1]脱水の基本知識
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木材の脱水を語る前の基本知識

今回も、専門知識を小学生でも分かるように説明します。

キーワードは、栄養水、乾燥、脱水 です!

木は乾燥させてから使うもの

家を建てる時や家具を作る時に木を使います。正確に言うと加工された木材を使いますね。木は伐採された後、基本的に「乾燥」というプロセスを経過して初めて「木材」として活用されます。この乾燥のプロセスは方法や対象物によっては数十年かかるものもあれば、数週間という場合もあります。

乾燥方法は大きく分けて二つあります

天然乾燥と人工乾燥です。

  • 天然乾燥:板を桟積みして置いておき、自然と水分が抜けるのを待ちます。屋外に置く場合もあれば屋内に置く場合もあります。
  • 人工乾燥:木材乾燥機などを使用して木材の水分を抜方法

→まあ、わかりやすく言えば、洗濯物を

  • ベランダで干すか
  • 乾燥機にかけて乾かすか

の違いですね(笑)

しかし、洗濯物と違うのは、木はもっと硬いし太いから、水分を抜くためには、かなり工夫が必要という点です。

なぜ乾燥させるのか?

木には多くの水分が含まれています。水は時間と共に蒸発します。木の中にたくさんの水分を含んでいると、蒸発の速度が異なるため、木が反りやすくなります。極端の例を言いますと、コピー用紙を水面に置くと、すぐにくるくるにまがってしまいますよね?それは片方が多くの水分を含み、膨れ上がってしまうからです。

水分バランスの変化が木を変形させます。ですから、真っ直ぐに加工したつもりでも、時間が経つと、木が曲がってしまいます。そこで乾燥というプロセスが必要になります。もちろん乾燥している間にも変形したりしますので、削ったり、圧力で戻したりという修正作業も場合によっては必要です。

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乾燥を超える「脱水」という新概念

水分を極限まで蒸発させた状態を「絶乾」(絶対乾燥)と言いますが、これだけではことが足りません。

木は成長するために、土壌から吸い上げた多くの栄養分も蓄えています。栄養分は虫の大好物ですから、栄養分が多く残っていると、虫による侵蝕が進みやすく、耐久性が低くなります。栄養分は基本的に水分の中にありますから、合わせて「栄養水」と呼びます。乾燥は水分を蒸発させることができても、栄養分を吐き出すことができません。これは今までの木材の乾燥の課題です。

上記の内容を踏まえてまとめますと:

木の自然特性

  • 豊かな土地に生えた強度の高い木ほど、栄養水に満ち溢れている。
  • 木の主な構成要素はリグニンとセルロースである。これに栄養分が残留すると、虫やバクテリアによって腐食される。
  • 木の内部には自由水と結合水があるが、結合水は蒸発しにくい。

木材加工に関する課題

  • 乾燥では水は蒸発するが栄養分が残留するため、虫とバクテリアを寄せつけ、木の腐食や黒色化の原因となる。
  • 水分量の分布が不均等(内部に行くほど含水量が高い傾向)のままだと、ひび割れが起きる。

下記の写真では、木の周りからひびが入っていることがわかります。

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HIMECのソリューション

ハイメック(HIMEC, 日高機械エンジニアリング)では、栄養水の排出に注目し、乾燥ではなく、脱水という概念を提唱し、そして実用化させました。この脱水装置は多くの企業に導入されています。特に耐久性を求める社寺を建築する工務店でも需要が高いです。

しかし、脱水させても、再び水分を吸い込む可能性があるため、防水作業とセットで行いたいものです。

ですから、HIMECのトータルソリューションは二部構成となっています。

①脱水(マイクロは照射)

②防水(アセチル化)

脱水:マイクロ波を照射して中心部の水分子を加熱して外に追いやる工程です。

防止:無水酢酸という薬剤をしみ込ませることによって、アセチル基を植え付ける工程です。

 

今回はここまでです。

脱水とアセチル化について、少しずつ解説していきます。

よろしかったら続編も読んでくださいね。

 

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