[木材脱水連載2]『新月伐採』は迷信か、科学か?
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新月伐採とは

新月伐採は「葉枯らし乾燥」の一種ですから、まず「葉枯らし」について説明します。

「葉枯らし乾燥」とは
葉枯らし乾燥とは,伐倒後一定期間そのまま林内に放置し,枝葉が黄変し, さらには赤く枯れるまで天然乾燥させるもので,一般に「アク抜き」あるいは 「渋出し」と称する特殊な乾燥処理法の一種である。──愛媛県


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「新月伐採」とは
新月伐採とは、樹木の中に栄養水の残留が少ない切り旬(冬季の新月)の時に伐採することです。さらに、伐採後は谷側に倒し、比較的長い期間林内に放置し、葉枯らし(天然乾燥)してから利用します。

新月伐採のメリット

木は水分量が少なく、残っている水分においても栄養分が少なくなっているため、耐久性が高い、良質な木材とされています。

NPOローハスクラブは『「新月の木」月の魔力が森を守る』と題した記事において、新月伐採について下記のように紹介しています:

自然界のあらゆるものは太陽と月の影響を受けており、植物や木も例外ではなく、太陽や月のリズムに影響されていることを、昔の人は良く知っていて、木を切る時期を選んでいたのだと思います。

日本では良い木材を得るには「木が眠っている」時に伐採するのが当たり前でした。木が眠るとは、春夏の成長期が終わり、長い冬が始まる11月、12月のことです。つまりこの頃の下弦の月から新月に至る1週間程の期間に伐採された木は、最高の「新月の木」になります。

月のリズムがつくる「新月の木」は、腐らない、反らない、虫がつかない、火が燃え付かない、室内の空気を浄化し、シックハウスにならない。そして何百年も使え、日本の山林を回復させることにもなるというのです。

──NPOローハスクラブ

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実に素敵なことですね。

新月伐採は本当に意味あるのか?

結論から申し上げますと、賛否両論です。肯定と否定の意見をそれぞれ紹介します。

新月伐採の効果を肯定する意見

NPOローハスクラブでは、新月伐採を全面的に肯定し、このように述べています。

オーストリアにも「新月の頃に伐った木は虫がつかないし、長持ちする」という言い伝えが昔からあったそうです。近代林業の中では迷信だと無視されていましたが、エルヴィン・トーマ氏の著書「木とつきあう知恵」の原書が1996年に出版されると賛否両論の大反響があり、ドイツではベストセラーになりました。その後、チューリッヒ大学で研究が行われ、その内容が正しいと実証されてからは、ヨーロッパでも「新月の木」を使う動きが広がっています。

──NPOローハスクラブ

新月伐採の効果を否定する意見

それに対して、株式会社ハウスジャパンがまとめた情報によれば、効果は期待できないそうです。

数年前から、この新月伐採によって作られた木材は「割れない、反らない、カビない、腐らない、火が燃え付かない、千年使える、室内の空気を浄化する」などという宣伝文句に加え、冬季の新月直前に伐採するという希少性をうたい、高値で取り引きされているようですが、新月伐採における効果は認められない」という試験結果が公表されているだけでなく、「建て主に誤解を与え、後々トラブルの原因にもなり兼ねない」と言われています。

それら試験結果の一例を紹介すると、京都大学の高部圭司、吉村剛両氏が行った新月伐採法における効果に関する科学的実験では、腐朽菌やシロアリに対してまったく効果がないこと、新月伐採された木材も一般の木材同様割れが入ることを明らかにしています。

また静岡県森林・林業研究センターの池田潔彦、山本茂弘両氏が行った満月と新月に伐採した杉45~50本におけるカビや腐朽の要因になる含水率とデンプン量を調べる対照実験において、満月、新月ともに差がなかったことも明らかにされています。

葉枯らし乾燥の効果についても、新月に伐採することに特に意味はなく、立ち木の時からすでに死んでいる細胞が新月の影響を受け、腐らなくなったり、割れや狂いがなくなったり、また火が燃え付かなくなったりすることは、残念ながら期待できないようです。

株式会社ハウスジャパン

いずれも研究機関の研究結果をエビデンスを提示していますので、正直言ってどちらが正しいのかはわかりません。

一つ言えるのは、古建築のお城、お寺や神社の柱にあまりヒビが入っていないのに、近年復元したものは数年でひびが入ってしまっています。先人の知恵は侮れないことが伺えます。いったいそれは新月伐採による効果なのか、それとも別の要因があるのかはわかりません・・・

新月伐採の課題

後ほど詳しく述べますが、新月伐採の有効性については賛否両論です。

仮に新月伐採の有効性は確かなものだとしても、少なくとも下記の課題があります。

  • 伐採できる時期が限られることで、生産量が限定されてしまいます
  • 宮大工の長年の経験と技術に頼る必要があり、個人差が生じ、ビジネスとして成立しにくい

『新月伐採木』を科学的に作ってしまおう

いずれにしても、新月伐採の根本的なアイデアである「水分量と栄養分を減らす」ことは正しいです。なぜなら、残留水分量は反りを引き起こし、栄養分は虫食いを引き起こすからです。

水分量と栄養分を合わせて言えば、栄養水です。栄養水を木から科学的に定量的に抽出することあできれば、科学的に付加価値の高い「新月伐採木」になります。

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HIMECは栄養水を木から強制的に排出させる「木材脱水装置」を販売しております。自社開発した技術であり、特許を取得しております

例えば、水分含有量、脱水前後の木の重量を測ることによって、どれくらい水分を排出させたかを明らかにすることができます。つまり、信憑性の高い「履歴書付きの木」になります。これは天然乾燥ではできないことです。また既存の人工乾燥技術では比較できないほどの水分を排出させることができます。なにより、乾燥が水分を蒸発させるだけのに対して、HIMECの脱水技術は、栄養を含んだ栄養水を水のまま内部から排出させるので、栄養分までも減らします。

詳細については、また続きをご覧ください。

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